なみだ
細谷亮太;文 永井泰子;絵 ドン・ボスコ社
聖路加病院の小児科医細谷亮太さんの書いた絵本です。
東京に行ったときに立ち寄った銀座の教文館で見つけました。
私も以前涙のことは澤田さんのはがきで書きましたが、
それに通じるものでした。
「天国へ行ってしまった あの子は私の いのちだった。私たちの幸せの日々は、もう帰らない」
ではじまる絵本です。患者・家族の涙の深い意味、悲しみの経験から歳月を経る中で、
涙がやさしくぬくもりのあるものに変化していく。
その変化をやさしいタッチで書いてくれています。
絵は細谷先生が書いた「ぼくのいのち」「お兄ちゃんがいてよかった」の本の絵も描いた
永井さんの絵です。
この絵本にご自身も息子さんを亡くされた経験を持つ柳田邦男さんが本の帯に
「悲しみにくれる人よ、なみだは心深く生きる人生への道標なのです」
と書いてくれています。
さらにこの絵本の中には柳田邦男さんが
「悲しみの波大は真の人生のはじまりー絵本『なみだ』に寄せてー」
と題して4ページにわたる文章が添えられています。
一部私がとても共感した部分を抜粋します。
「悲しみは人の心に他者への慈愛の彩を添え、内面を豊かにしてくれる。
だから悲しみの体験は真の人生の始まりなのだ」
たんぽぽの会を開いて11年。
多くの涙が流されました。
はじめは痛く、暗く、悲しいなみだ。
悲しみはいつまでも消えることない。
涙が折に触れて流れても
いつしかその涙が大切なものや大切なことを気がつかせてくれる涙に変わっていく。
今私が四季折々の変化や私の周りにいる人たちの優しさに気がつくことや
こうして毎日が心穏やかに暮らせていることへの感謝でいられることなど
色々なことに気づかせてくれる。
こういうことに気がつくように親を成長させてくれる大切な大切ななみだなのだと思う。
まだまだ子どもを亡くすという引き裂かれた心の傷から出てくる涙の方もいる。
やがて、私が感じるような涙に必ず変化していくことを信じて
たんぽぽの会を開き続けて行きたいと思う。